今回は福津市西福間にある革かばんと革小物の工房affordance(アフォーダンス)さんを取材しました。
福津には魅力的なモノづくりをするクリエイターさんが多数いらっしゃいますが、古賀マガジン編集長の松見がSNSを見てずっと気になっていたというアフォーダンスさんに念願叶って松見と山下の2名で伺いました。
34枚の写真と共に、おしゃれすぎる工房やこだわりの革製品はもちろんモノづくりへの想いまでアフォーダンスさんをたっぷりとご紹介します。
affordance(アフォーダンス)とは
アフォーダンスとは、日本製の牛革にこだわり革本来の風合いを活かした革かばん・革小物のデザインから製作まですべての工程を行なっている革工房です。
オーナーは福津市出身の小川弘記さん。高校卒業後、有名デザイナーやアーティストも多く輩出している専門学校の文化服装学院へ進学。
専門学校在学中に革と出逢い、紆余曲折を経て25歳の時に革職人として歩みはじめ今年で16年が経ちます。
日本では数少ない、日本のタンナーさんと協働してこだわりのアフォーダンスさんオリジナルの革を作り、その革の魅力を活かした唯一無二の革アイテムを日々生み出しているのが最大の特徴です。
タンナーとは皮革メーカーで、革の鞣し(なめし)業者さんのことです。
アフォーダンスの革カバン・小物を紹介
アフォーダンスさんには革かばんや財布など革小物の定番商品から、意表をつくようなちょっと風変わりな商品まで豊富なラインナップがあるのでご紹介します。
こちらはドローイング2wayトート、カラーはダークネイビー(49,500円)です。
サイズは2サイズ、カラーはダークネイビーの他に朱色やベージュなど複数のカラーがあります。
こちらはアフォーダンスさんで1番人気の財布各種です。
2つ折のコンパクトでスッキリとしたこちらの財布は、蛇腹財布(25,410円)です。
カードポケットは2つ、小銭ポケットが1つあります。
tongue(コンパクト財布)カラーはベージュ(17,050円)です。
財布を開けてみると、中はこんなおしゃれな作りに。
お札を折り曲げて入れるタイプのコンパクトなお財布です。
ここからはちょっと風変わりなアフォーダンスさんの商品をご紹介していきます。
こちらはpentagonのラグ(52,800円)と1点物.スリッパ(8,800円)です。
風変わりな商品たちは、様々な理由で定番商品では使えない革や製作過程で生まれる革の端切れを使って作られています。
個人的には、このpentagonのラグには一目惚れをしました。とても素敵な風合いなのでぜひ皆さんにもアフォーダンスさんのファクトリーショップで実物を見ていただきたいです。
スリッパは商品名にもある通り、まさに1点物。
革で作られているので、履けばはくほど革の深みや味がでるのも素敵です。
こちらは、革の積層(23,100円)です。
革を何層にも重ねて張り合わせて作られたペン立てで、柔らかなフォルムが魅力的です。
最後にご紹介するこちら、何だと思いますか?
こちらはコードライト付のシェード飾り(19,800円)です。
祖父母の家を思い出す電気のヒモも、こんなにおしゃれだと心弾みますね。
アフォーダンスの革の特徴
アフォーダンスさんの革は兵庫県たつの市にあるタンナーさんにオリジナルで作ってもらっている日本製の牛革を使っています。
時の経過と共にやわらかくなり、持ち主の体や日常に少しずつ馴染んでいく経年変化を楽しめるところが特徴です。
もう少し詳しくアフォーダンスさんの革の特徴を伝えると、重すぎず軽すぎず、革質はしなやかさを大事にしています。革の表面も使っていく中で経年変化の醍醐味である艶(つや)を楽しめるようマットに仕上げています。
実は、アフォーダンスさんのように問屋さんを介さず、日本のタンナーさんから直接革を仕入れているのはとても珍しいことなんです。
外国製の革が多く流通する中で、日本のタンナーさんの技術はもちろん日本製の革の質感やキメの細かさなどの魅力をひとりでも多くの人に届けたい。アフォーダンスさんの革製品1つひとつにはこんな深い想いがこめられています。
おしゃれな工房
思わず目を奪われるこちらの建物が、アフォーダンスさんの住居兼工房です。
やわらかく、なだらかに曲線を描いたおしゃれでアートな建物は佐賀県鳥栖市にあるclass archi株式会社さんが手掛け2021年のGOOD DESIGN賞を受賞しました。
当時、小川さんはご家族と東京で生活をしていましたが将来の住みかを考えた末、小川さんの地元である福津で暮らすことに。
「初めて家の模型を見た時は驚きを隠せなかったけれど、住みやすそうだしデザインも魅力的だった。」と小川さんは当時を振り返っていました。
おおよそ5年の月日をかけて完成したアフォーダンスさんの住居兼工房!
2015年に初めてclass archiさんとコンタクトをとり、2018年に本格始動。2019年に着工し9ヶ月の期間をかけて大切に建てられ2020年5月に竣工しました。
また、ファッションが大好きで学生時代に小川さんが地元でよく通ったリバティベルという古着屋さんから今の仕事につながるきっかけをもらったんだとか。
当時、リバティベルさんが小川さんの背中を押してくれたように、アフォーダンスのこの建物、この場所が誰かのきっかけとなる存在になれればという想いも語ってくださいました。
アフォーダンスの革製品ができるまで
今回、小川さんが実際に革製品を製作する様子を見せていただきました。
分かりやすく6つの手順に分けてご紹介します。
下準備には製品により様々な工程があり、こちらは磨きの様子です。
内縫い部分をすいて薄くしている様子です。
基本的にはミシンで縫いますが、パーツによっては手縫いする場合もあります。
5と6の作業を繰り返し、アフォーダンスさんの革製品ができあがります。
お財布1つを作り上げるのにおおよそ1日かけ、小川さんの手により大事に丁寧に作られています。
アフォーダンスさんの使用している革は食用の成牛の牛革を使っています。
革の型とりや裁断1つとっても知識や経験が必要です。
例えば、しみや血筋は折れやすいことを知っていなければ使える部分や向きの判断ができません。
また、製品の型は小川さんが考案するアフォーダンスさんの完全オリジナルです。使ってくれる人のことを思い浮かべながら、使いやすさとデザインの両立を試行錯誤しながら実現するモノを作っています。
デザインはお客さまの声や日常生活での気づきをアイデアとして常に脳裏にストックし、それを具現化することが多いんだとか。とはいえ、アイディアが実際カタチになるまでは大変な道のりで、試行錯誤する中でお蔵入りしてしまうアイディアも少なくないそうです。
アフォーダンスさんの妥協のない、使い手を想うモノづくりに改めて魅了されました。
アフォーダンス営業時間・アクセス
福岡県福津市西福間3-35-30
営業日は木・金・土曜日(不定休)です。
アフォーダンスさんの公式サイトかSNSで必ずオープン日を確認してから足を運んでくださいね。
affordance(アフォーダンス)小川さんの想い
ここで小川さんの経歴をサクッとまとめると、専門学校時代に革と出逢い、25歳までは絵描きとして夢を追い、2007年にHERZさんへ入社し約3年間の修行を積んだのち、2010年5月にアフォーダンスをスタートしました。
2時間たっぷりと取材をする中で、小川さんの革職人としての活動の根底には日本製の革への愛と日本のタンナーさんの技術力への敬意を深く感じました。
今後の目標についても福津から世界を目指すべく「引き続き、タンナーさんと共に素材を作り日本の革をタンナーさんと共に押し上げていきたい。」と、小川さん。
日本の革業界の未来へ向けて進んでいくという強く、熱い気持ちを感じました。
また、九州にタンナーさんはいません。さらに革の問屋さんも数少ないのでアフォーダンスで働く職人の数を増やし、趣味でレザークラフトをやっている人たちが気軽に革を手にとってみることができるよう革の販売や、ワークショップの開催ができたらともお話して下さいました。
さらに、モノづくりで大切にしていることをお聞きすると「素材の良さを活かすこと」と教えて下さいました。
というのも、素材の良さを活かすと必然的にシンプルな仕上がりになります。そのシンプルの中に、いかにアフォーダンスらしさを残すのかをいつも考えているそうです。
シンプルの中に幅広い丁度良さをを探って提案するのがアフォーダンスのこだわりであり、想いです。
affordance(アフォーダンス)まとめ
外国製の革が多く流通する中で、まだまだ手にとる機会の少ない日本製の牛革を、タンナーさんにオリジナルで作ってもらうこだわりのモノづくりをするアフォーダンスさん。
素材の良さを大事にし、使い手を想い丁寧に作られたアイテムはどれも作り手のぬくもりに溢れています。
個人的に、以前よりアフォーダンスさんの名刺入れを使用していますが今回の取材を通して、いつも名刺入れを手にしては理由なく感じていたぬくもりや日増しに湧いてくる愛着の理由はそこにあるんだと確信しました。
いかがでしたか。福津に根をはり、おしゃれでアートな工房でこだわりの日本製の革を使ってつくるアフォーダンスの革かばん・革小物を一度手にとってみてはいかがでしょうか。
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