めんたいこんにちは~。
福岡めんたいこ地位向上協会の理事長、田口めんたいこです。今回から「古賀マガジン」で、私たち「めん地協」が明太子の魅力をお伝えする連載をおこなうことになりました。
私、田口めんたいこはよく、友達と福太郎の話をします。
田口:福太郎っていう明太子屋さんがあってさ
友達:へ~、そうなんだ
田口:あ、めんべいっていう明太子のおせんべい作ってるところなんだけど
友達:あー!知ってる!めんべい、お土産でもらって食べたことあるよ!あの、大きく「め」って書いてあるやつでしょ!
田口:そうそう! それそれ!
福太郎の話をすると、大体こうなります。めんべいの存在感たるや。
そのめんべいを作っている会社は、山口油屋福太郎。
明太子も作っています。もっと言うと明太子以外にもさまざまな食材を扱っているのですが、今回はまず気になるめんべいのお話。
広報の平尾さんと取材日程を調整していたら、なんと田中社長にお話を伺えることになりました。
※本記事は2021年2月取材当時の情報となります。
いざ山口油屋福太郎本社へ

博多駅からJR鹿児島本線で3分。

竹下駅徒歩約5分の場所に山口油屋福太郎本社と、本社売店があります。

本社売店の中には、福太郎の商品がズラリ。奥には、明太子メニュー充実のカフェがあります。
田中社長と広報の平尾さんが出迎えてくださいました。

実は50種類以上もあるめんべい

私は去年「めんべいソムリエ(※)」を受けたので20種類は食べたのですが、実際めんべいって何種類あるんでしょうか?
※めんべいソムリエ…めんべいと一緒に届く試験問題に合格すると認定証とグッズがもらえるセット。現在販売終了。(私が開封した時の動画はこちら)



2001年に誕生してから、通算で50種類以上出してきました。



そんなに出てたんですか?





はい、期間限定で今は販売していない商品もありますが。定番商品からご当地めんべい、コラボめんべい、めんべいチップスなど含めて、50種類以上あります。ちなみに、パッケージは通算90種類あります。



言われてみれば、確かに。プレーン味のめんべい買いに行くと「いつもパッケージが違って新鮮だな」と思っていました。





それだけたくさん種類があると、選ぶのに悩んでしまいそうですね。めんべいの一番人気はどれですか?



ダントツで「プレーン」です。





一番シンプルなやつ!



そうなんです。他に「マヨネーズ」や「辛口」も人気ですが、結局は「基本がおいしい」というお客様の声があります。



ちなみに、僕は博多限定の「ねぎ」が一番好きですね。





おお、ねぎ味! 東京でも、物産展で販売されていることがあるので買ったことがあります。



物産展だと、県外でも販売することがあります。



すでに驚きの数ですが、これからも増え続けていくのでしょうか?



今度、めんべい生誕20周年記念で定番シリーズの香味えび味を出す予定です。



そうなんですか?! 楽しみ。人気の味になるといいですね。



定着するような味になったらいいなと思っています。食べると「なるほど」と、喜んでもらえるような味だと思います。
ご当地めんべいで、地域を盛り上げる



めんべいって、おせんべいに明太子が入ってるというところで、ついついお土産に買いたくなっちゃう福岡らしい商品だなと思っていたのですが……。



はい。



ご当地めんべいの存在を知ったとき「福岡らしいめんべいに、さらにご当地の味を足すってどうなの?」と思っちゃいました。



そうなんですよね。個性を強調するために、本来なら引き算していくと思いますが、うちは足し算します。





めんべいソムリエのときに20種類食べてみて、明太子の味も、ご当地の味もしっかり感じられることに感動したんです。「これはすごく真剣に向き合って作られてるものなんだな」と。





最初に「くるめんべい」を作ったのですが、地元の特産品を使ったお土産を作りたいという生産者の方々の強い要望に応えたいというのが大きな理由としてあります。結構そういう声が多いんです。





ただ面白そうだからと始めた企画ではなかったんですね。



現地の活性化に繋がります。廃棄する未利用牡蠣を使ったりとか、無駄にしないことで、生産者のモチベーションが高まるんです。



なるほど!とてもあたたかい企画ですね。最近はどんな商品が出てるんでしょうか?



「大牟田高菜めんべい」と、「糸島カキめんべい」ですね。特に高菜は評判がいい。大牟田産の三池高菜が入っていて高菜の味がすごいんです。





高菜というと僕は阿蘇とか、熊本のイメージだったんですが、生産者の方に「違うんです、三池高菜って実は大牟田なんです!」って言われて、「そうなんですか! じゃあ、やりましょう。」って。



話が早い! そこから商品化されるまでってどれくらいの期間かかるものなんですか?



地元の皆さんに試食してもらいながらなので、時間はかかっちゃいます。商品によって違いますが、高菜に関して言うと、構想から1年以上かかって生まれました。



なるほど。そうですよね、地元の方も納得の商品じゃないと意味がないですもんね。



はい、そういう流れで今もいくつか新しいご当地めんべいの話が進んでいます。
明太子が入っていないめんべいの存在



あと…、実はコラボ商品で明太子が入っていないめんべいもあります。



明太子が入ってないめんべい……? それってめんべいなんですか?



うめ屋さんという明太子メーカーが運営しているチョコレート工房、「ウメヤブレイナリー」とコラボしてめんべいの「カカオニブ味」を作りました。





明太子屋さん同士のコラボで、明太子抜きの商品ができるってそんなことあります?! あの……、めんべいってめんたいこのおせんべいだからめんべいなんですよね?ちょっと混乱しています…。
めんべいで大事なのは「食べて噛んで味を出す」





めんべいの定義は明太子が入ってることだと思ってたんですが、もしかして、他にもあるんでしょうか?



もちろんほとんどに明太子が入っているんですが、実は「噛んでしっかり味を出す」というのがめんべいの基軸なんです。



なるほど……。深い。根源はそこにあったんですね!



試作段階から、おいしさを追求して明太子やいか、たこをエキスやパウダーにすることなく具材として練り込むことにこだわってきました。



「練り込む」ことが大事なんですね!



あまり練り込みすぎると、せんべいが割れやすくなってしまうんですよね。当時試作をして頂いた方から「そこまで入れなければ割れないのに、どんどんどんどん入れてって言うから入れるとみんな割れますばい!」と言われて。



そうですよね。それでも練り込むのをやめなかったのは、なぜですか?



「じゃあ割れなければおいしいんですか?」と。「割れてもいいからおいしいものを作りましょう!」ということで今のめんべいがあります。



突き抜けてる!



そういった面で、カカオニブめんべいも「めんべい」としての「軸」はブレてないんです。練り込む手法は変えずに、こだわって作りました。



今やっと、カカオニブめんべいの存在を受け入れられました(笑)





でも、唯一その軸がブレたのが「めんべいチップス」です。



ブレてた…!



若い人向けに最初からガツンと味がくるよう、シーズニングを使うことにしました。





なるほど、今度は若い人たちに届くように考えられたんですね!



最初の2種類は、柿ピーみたいにただ混ぜたかったので、ピーナッツとカラーチョコを出しました。





それから次が、味つけちゃった。のり塩コンソメは、ただ単に僕の勝手なわがままなこだわりで作りました(笑)のり塩だけもイヤ、コンソメだけもイヤ。「両方混ぜようや」って。



贅沢!



この企画をひらめいたとき、めんべい開発に携わった方に相談したんです。すると「めんべいじゃなくてめんべいチップスという名前だし、めんべいも進化して良いんじゃない?」と言ってくれて。



だからオンラインショップのカテゴリー分けの欄、めんべいとは別にめんべいチップスがあるのか…! あくまで「めんべい」とは別物なんですね。





売れ行きはどうでしょうか…?



おかげさまで、人気商品になりました。



良かった!狙い通り、若い世代に響いたんですね!
めんべいはスーパーの魚売り場から始まった



そもそも、めんべいはどうやって生まれたんでしょうか?



どうしても生の明太子は冷蔵・冷凍で持ち運びがしにくく、賞味期限も短い。賞味期限が長い商品を作れないかということで、できたのがめんべいです。



なるほど! 最近常温の商品、増えてきてますよね。



当時の社員に名前の募集をしたところ、新入社員が思いつき「めんべい」という名前を付けました。



そうだったんですか!今ではめんべいという名前がすっかり定着してますよね。





最初は、関連商品としてお魚売り場の横で販売を始めました。大々的な宣伝はせず、とにかく試食してもらうという形でずっと今までやってきています。



お菓子売り場ではなかったんですね。そこから福岡土産といったら思い浮かぶような存在になったのは何か大きなきっかけがあったんでしょうか?



たまたまたメディア露出が続いて、1億の売り上げが5億に伸び、それ以上になっていきました。



テレビで取り上げられたのがきっかけだったんですね。



それで実際、軽くて値段もお手頃で、たくさん量が入ってるよね、という部分が評価されて人気が出てきたんだと思います。
めんべい生誕20周年! 今年の展開は?



福岡に引っ越してくる前、東京のコンビニやスーパーでも見かけるようになりました。今後は県外でも積極的に販売していくんでしょうか?



基本的に、九州フェアなど冠がついていないと県外には出していません。今年は「めんべい生誕20周年で、旅をします!」というテーマで、期間限定ではありますが、各地に定番の商品やめんべいチップスを置いていただいています。今後も全国の様々なお店で販売予定です。



おお、たくさん。今年は、どこにいてもめんべいが手に入りやすい嬉しい年になりますね!



それから、小さいめんべいをずっと作りたいなと思っていまして。約5年構想してきて、ようやくこれならいいんじゃない?という味ができたので、完成したら全国展開していきたいなと思っています。



楽しみです!



正直、販売当初より馬鈴薯でんぷんも値上がり、いかの原料なんて3倍になっていて、今後油も値上がりすると思うのですが……



そうだったんですか。それなのに価格が変わっていないなんて、相当頑張ってくださっているんですね……



はい、何とか色々な形で価格を守っています。これからも上手くやっていきたいです。



めんべいについて、貴重なお話をありがとうございました!
その後、福岡めんたいこ地位向上協会では、めんべいの情報をYouTubeでもお伝えしました。こちらもぜひご覧ください。
(文責:福岡めんたいこ地位向上協会 取材・執筆:田口めんたいこ 編集:大塚たくま)
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