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一人ひとりが味を決める職人! 木藤商店にしかできない切子明太子のつくり方

めんたいこんにちは~。

福岡めんたいこ地位向上協会の理事長、田口めんたいこです。古賀マガジンで、明太子の魅力をお伝えする「めん地協」連載、今回はその二回目です。

本日は、木藤商店さんにお話を伺ってきました。

木藤商店さんのインスタグラムは、とにかく明るい。

木藤商店さんとは私が明太子活動を始めた初期の頃からSNSを通じて交流があります。

社長や奥様はもちろん、社員の方も、パートさんたちも、明太子と一緒に写る皆さんの笑顔がたまらなくて、お会いしたことのない頃から投稿される写真を見ては「よし!私も頑張ろう!」と思う日々です。

取材当日も、お店に入った瞬間の皆さんの「おはようございまーす!」にホッとしつつ、切れ子明太子に対する熱いこだわりを木藤社長、妻の洋子さん、そして女将さんにたっぷり教えていただきました。

木藤商店の木藤和男社長と奥様の洋子さん
目次

木藤商店の明太子はガツンとした旨味が特徴

木藤商店「無着色・昆布入切子明太子(小)」
田口めんたいこ

木藤商店さんの明太子は、どんな特徴がありますか?

妻・洋子さん

ガツンとくる濃い味というところですね。旨味がはっきりしていて、わかりやすい味かもしれません。

木藤社長

辛くはしてないので、小さなお子さんにも受け入れられやすい味だと思います。

田口めんたいこ

たしかに、木藤商店さんの明太子は親しみやすいですね。

木藤社長

じゅわっと広がる感じでね。ぼくも小さな頃から食べているけど、ご飯によく合ってクセになります。ガブッといってほしい明太子ですね。ちびちびじゃなくて。

田口も、いつもガブっといただいております
妻・洋子さん

自分でも「美味しいものを作ってるなあ」と思いながら、日々つくっています。

田口めんたいこ

愛情たっぷりですもんね。

妻・洋子さん

そうそう。愛情たっぷりなんですよ!

1パックずつ手作業で味を作る「切子辛子明太子」

田口めんたいこ

木藤商店さんの明太子で、他社と違うポイントはどこだと思いますか?

妻・洋子さん

つくる工程が違います。まったく漬け方が違うんですよ。

田口めんたいこ

どのように違うんですか?

妻・洋子さん

1パックにたらこを入れて、調味液を入れて、その中で熟成させて味を決める。

田口めんたいこ

え! 1パックずつ……ですか?

田口めんたいこ

すごい。1パッケージごとに調味料を入れて味をつくるんですね。従業員の皆さんも責任重大では……。

妻・洋子さん

だけん、職人さんそれぞれの唐辛子の入れ方次第で味が変わってきてしまうんです。責任重大ですよ。

1パックごとに手作業で味付けします
妻・洋子さん

普通は一度に大量に漬けるので、1日1000個作るとしたら1000個全部、味が同じにできますよね。でも、うちの場合は1個1個が勝負。だから、みんなかなり神経とがらせて作っていますよ。

工場内はとてもシンプルで自動計りもありません
田口めんたいこ

すごい。それは緊張しそうですね。味がついてるものを分けているわけではないと。

女将さん

普通、切れ子って綺麗な形で売れないやつを安く売るのが主流じゃないですか。でもそうではなくて、切れ子の特性をいかし、より味がしみる方法を追求してつくっています。

一つひとつ味のしみやすい位置を見極めて切ります
田口めんたいこ

切れ子だからこそ、皮の中までよく味がしみるわけですね。切れ子って、お徳用のイメージはありますが、木藤商店さんの場合は、そういう意味合いではありませんね。

女将さん

特上品も切れ子も品質は同じですから。切れ子の作業工程は職人技です。なかなかここまで切れ子に手をかけているところはないと思います。

田口めんたいこ

そうですよね。切れ子って「ただ切れて食べやすくなっている」という、それだけのイメージだったので。そこまで「切れ子」にこだわられているとは思いませんでした。

こだわりのつまった明太子はきれいにパック詰めされていきます

木藤商店のルーツはリヤカー

田口めんたいこ

木藤商店さんって、最初はリヤカーで販売されていたんですよね。

妻・洋子さん

元々母たちの里が糸島の方なんです。父は漁師町の漁師だし、母は農家のお嬢様なんですよ。もともと糸島で、お父さんとかおじいちゃんが釣ってきた魚をリヤカーで売っていました。

田口めんたいこ

リヤカーの頃から、明太子を販売していたんですか?

女将さん

あの頃はたらこやったかな。まだ辛子明太子の販売が流行ってなくて、そのあとマルキョウ(スーパー)でお店を出すようになってからもしばらくはたらこを樽で売りよったんよ。そして明太子の漬け方を教えよったと、私たちが。

マルキョウ時代、先代社長と女将さんの貴重なお写真
女将さん

そうしているうちに「自分たちで作った明太子も売ってみようか」ということになって。

田口めんたいこ

木藤商店さんの味はどうやって作っていったんですか?

女将さん

最初はお酒とかみりんとか、唐辛子というか、そういうのから。仲間内で「昆布がいっぱい余っとうけん、昆布漬けしたらどう?」っていう話になって。一緒につくってみたのが始まりです。

田口めんたいこ

そうやって最初の木藤商店さんの味がつくられたんですね。

妻・洋子さん

調味液もいろんなご縁があって。いろんな人が親身に考えてくれるわけですよ。調味料もこっちがいい、あっちがいいって教えてもらってね。それで先代社長がいいとこ取りして作ったのが、その後の味になったみたいですよ。

濃厚でまろやかな味わいへ

田口めんたいこ

最初につくったときと現在で、味に違いはあるんでしょうか?

妻・洋子さん

明太子をつくる従業員の教育が行き届き、安定して同じ品質のものがつくれるようになりました。

田口めんたいこ

味が安定してきたっていうことですね。塩分を控えめにしたとか、何か味自体を変えたところはありますか?

妻・洋子さん

少しあります。

木藤社長

先代から受け継いだときに、先代が「うまい!」って言うかどうかを意識すると同時に「自分が一番美味しいものをつくらないといけないな」っていう想いがありました。

妻・洋子さん

あの方はなかなか言わんよね。

木藤社長

先代の明太子もすごく美味しかったんですけど、当時の明太子はちょっとお酒の味が強い感じがあったんです。

田口めんたいこ

お酒を少しマイルドにしたんですか。

木藤社長

そうですね。アルコールの感じをまろやかにしました。そして、ちょっと味を濃くしたいなという想いもあったんですよね。先代は「おいしいものはおいしい!自分がうまいと思うものを売る!」っていう感じだったんですけど、自分はお客さんの意見を取り入れるようになりました。

「おいしいね」と食卓を囲む時間を守りたい

田口めんたいこ

最近の明太子の出来はいかがですか。

妻・洋子さん

工場の方たち、2020年3月〜4月まるっと2ヶ月休んでもらったんですね。50年来初めて工場が止まるっていう中で、本当に皆さん一人一人改めて 「明太子をつくる日々って、幸せだったんだ」って考えてくれたみたいで。その想いがあふれて、今すごくいいものができてます。

木藤社長

今、木藤商店の歴史の中で一番おいしいのができてるんじゃないかなっていうぐらい。1個1個本当に丁寧につくれているなと感じます。

妻・洋子さん

いっつも社長と話すんですけど……、うちは海産物関係なので年末はもちろん忙しいんですが、今年は特に1月明けてすぐバタバタしてしまって、いつもだったら1月はゆっくりするところを皆さんほとんど休ませてあげられてないんです。もちろん週休2日はありますけど。だけどね、注文が来て忙しくなることを、みんなが喜んでくれるんですよ。

田口めんたいこ

その雰囲気がインスタグラムにめちゃくちゃ出てますよね。明るくお仕事に取り組んでいる様子がスマホの画面越しに伝わってくるので、いいな~!といつも思っています。

妻・洋子さん

そう言ってもらうのが一番嬉しいね。

木藤商店のInstagram
木藤社長

ありがたいですね。ある意味、コロナのおかげで、もう一度原点に立ち返れましたね。弊社にとっては本当にいろんな意味での、ターニングポイントになったんじゃないかなと感じます。

妻・洋子さん

「大事なものをひとつだけしかとれないなら、あなたは何をとる?」「明太子を作るにあたって、最後まで手放しちゃいけないものは何なの?」みたいな。究極の選択。自分の価値観を知れて、勉強になりました。

田口めんたいこ

たしかに、大変ですけどそういう側面もありそうですね。

妻・洋子さん

コロナを経験して改めて「みんなに喜んでもらえること」と、たった一つの明太子で「おいしいね」って、笑ってもらえる大切さがよくわかりました。

木藤社長

そのへんは、田口さんから教えてもらった部分あるよね。

妻・洋子さん

あるね。

田口めんたいこ

そんなそんな!!

妻・洋子さん

いや、本当に。明太子って、けっして安くはないじゃないですか。その明太子を家族みんなで囲んで「おいしいね」っていう時間のありがたさ。今ほど浮き彫りになるときはないんじゃないですか。外で食事もできませんし。だから、真剣に明太子を作らなきゃ、と思っています。

木藤社長

「明太子はおいしい!」っていうのを広めたいですね。「明太子を食べたら幸せ」って、田口さんみたいに言ってもらえるのはありがたいです。

妻・洋子さん

田口さんが「明太子大好き」って言ってね、「好きだから福岡に来ちゃった」っていうぐらいの魅力が、明太子にあると思うと嬉しいですよ。

木藤社長

見えないんですよね、なかなか明太子屋さんて、やっぱり大きくなってるところとかは営業の方生産の方って、全部分かれてるじゃないですか。うちは、お客さんの姿が直接見えますからね。

妻・洋子さん

大手さんは大手さんの良さがあり、真似できない技術もいっぱいあります。でも、やっぱり私たちは直接お客さんの声が聞けて、直接作る人たちの声が聞けて。この距離の近さが好きですね。

贈答需要減少もメディア出演や通販で売上を守る

田口めんたいこ

贈答の需要が減ってきて、コロナもあって、どのくらい打撃があったんでしょうか?

木藤社長

明太子業界全部だと思うんですけど、徐々に徐々にみたいな感じで減っていきましたね。僕が感じるに、大きなターニングポイントは2005年の福岡西方沖地震のときです。

妻・洋子さん

そこから10年ぐらいかけて、店頭に来てくれるお客さんは半分近くになりましたね。

田口めんたいこ

半分も! 店頭の売上はそんなに落ちていたんですね……。

妻・洋子さん

でも、通販の方で全部カバーできていました。タイミングよく、通販に力を入れ始めていたので。

田口めんたいこ

それは先手を打ったという感じですか?

妻・洋子さん

全く意図してないけど、手探りでやり始めた時期と、お客さんが減り始めてた時期がリンクしたんです。こっちが減った分だけこっちが伸びるみたいな感じで。うちは売り上げがずっと変わりません。

田口めんたいこ

コロナ禍になってからはどうでしたか。

木藤社長

メディアに救われました。ちょうどテレビ番組の取材を受けまして。ロケができない影響で何度も再放送されたんですよ。

田口めんたいこ

売上に影響はありましたか?

木藤社長

かなり影響がありました。今でもその影響で注文があるくらい。あとは通販ですね。

田口めんたいこ

通販もですか。

妻・洋子さん

今年はちょうど「通販のテレビで初めて明太子売ろう」という話になっていて。これもまたコロナになるからしようと思ったんじゃないんですよ。それで、コロナで一切出れないっていうときが一番売り上げが上がったんです。

田口めんたいこ

それはすごいですね!

妻・洋子さん

不思議だなと思って。全然狙ってないんですよ。まさかコロナだなんて思ってないから。たまたまご縁があって、明太子の通販番組どうですか?というお話がありまして。

田口めんたいこ

苦境だったから通販を始めたというわけではなかったんですね。

妻・洋子さん

うちは母も父も大きく絶対儲けきらない性格で。どんなに高く売れるときでも絶対高くは売らない。本当に真面目なんですよ。だからそういう生き方というか、そういう商売をしてると、こういうとこで守られるのかなって、漠然と思いました。

田口めんたいこ

本当にそうかもしれませんね。

妻・洋子さん

あの頃から通販番組の企画をやり始めて、3月4月5月、とそれから1年、今に至るまでずっとそういう流れで、それでCMまで作っちゃいました。

木藤社長

元々この人(洋子さん)が木藤商店関係なく化粧品の通販番組に出始めて、そっちの流れでうちもしませんかっていう感じになったんです。突破口を開いたのは妻です。

妻・洋子さん

お付き合いで。ご縁ですよね。なんかね。売り上げ下がった分を丸々そこで上乗せできてる感じですね。むしろ少しいいぐらい。

明太子業界を盛り上げていきたい

田口めんたいこ

洋子さんは今でこそ熱い明太子人ですが、もともとはどうだったんでしょうか?

妻・洋子さん

私は部外者です、全くの。そういう面では、田口さんと同じです。「なんでもっと発信しないの?」と意見して、SNSを始めました。

田口めんたいこ

ずっと明太子は好きだったんですか?

妻・洋子さん

私はほとんど魚も好きじゃなかったんですよ。でも、18歳で魚市場で働きだしてから「なんだこんなにおいしいんだ」ということがわかって。明太子は木藤商店に来てから初めて「明太ってこんなにおいしいんだ」と知りました。

木藤社長

弊社が変わったのは、妻が入社してからですよ。

妻・洋子さん

他の明太子屋さんで、私みたいに妻が強めに口出ししているところって、あんまりないでしょう。明太子業界で、あんまり私みたいな妻はいませんよね。

田口めんたいこ

そうですね。洋子さん存在感大ですよね(笑)

妻・洋子さん

私目線だと、「そこアピールするとこよ!」っていうところが、あるんですよ。中にいると「当たり前」なことが、私からすると「当たり前」じゃない。「伝えなきゃ!」と思うことがたくさんありました。

田口めんたいこ

でもそれはいいですね。すごい大きいことかも知れないですよね。

木藤社長

いろんな発見がありましたもんね。

妻・洋子さん

明太子業界、みんなで盛り上げていかなきゃいけない部分あるじゃないですか。上の世代は別として、主人みたいな2代目、3代目、もっとできることあるよねっていつも思ってて。

田口めんたいこ

私も、ちょうど明太子業界を盛り上げようという雰囲気になってきているのでタイミング的に今引っ越してきてよかったなと思ってます。

妻・洋子さん

うどんの食べ比べとかよくあるじゃないですか。あんな感じで明太子もどこが一番とかじゃなくて、ずっとそういうの企画で取り上げてくれたらいいのに。福岡で言うなら、うどんみたいな存在になりたいです。

木藤社長

ちょうどお土産品から日常品にシフトする時期かなとは思ってるんですよね。

妻・洋子さん

木藤商店の明太子は、ご贈答というよりは、食卓に向けてます。実際に自家消費が多いんですよ。

木藤社長

お客さんも「切れたから買いに来た」って言ってくれます。昨日持って帰ったら「もう息子が食べてしまったけん、また買いに来た」とかね。

妻・洋子さん

最初の1回は人からもらうんですよ。博多の人間は、なかなか最初から手を出しませんね、明太子に。博多の人同士で明太子をあげるってなかなかないじゃないですか。

田口めんたいこ

やっぱりそうなんですね。

妻・洋子さん

そうそう。だけん、やっぱ親とか近しいところの冷蔵庫にあって明太子2つあるなら1個持って帰るわよって感じなんですね。

木藤社長

親御さんから娘さん息子さんていうのは多いかもね。値段もネックのひとつかもね。

田口めんたいこ

それをもっと買ってもらえるようにしたいんですよね。

木藤社長

うちとしても値段、ぎりぎり安くしたいとは思いながらも今の金額でやっています。その分はなんとか量で答えたりできるようにって感じではあるけど、なかなか。宣伝すれば「わっ」て売れるわけでもないし。明太子は、やっぱり食べてもらわないとわからないしね。

妻・洋子さん

それをどうするかっていうことを考えていきたいですね。

田口めんたいこ

私もこれから一生懸命考えていきたいと思います!本日は貴重なお話をありがとうございました。

その後、福岡めんたいこ地位向上協会では、木藤商店さんの明太子の情報をYouTubeでもお伝えしました。こちらもぜひご覧ください。

(文責:福岡めんたいこ地位向上協会 取材・執筆:田口めんたいこ 編集:大塚たくま)

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この記事を書いた人

めんたいこんにちは。めん地協です。福岡における、めんたいこのさらなる地位向上を図っています。誰もがお気に入りのめんたいこを楽しく語れるように、情報発信を行います。福岡から世界へ。

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